アイリッシュウイスキーの歴史2
2024年7月16日
世界から忘れ去られてしまったアイリッシュウイスキー。
その復興の快進撃が始まったのは1987年から。
復活の立役者は、ジョン・ティーリング氏。
彼はハーバード・ビジネス・スクールでアイリッシュウイスキーの栄枯盛衰を研究し、
衰退してしまったアイリッシュ・ブランドの復興を目指しました。
1987年、ダブリンの北、北アイルランドとの国境近くのクーリー半島にあった、
政府の工業用アルコールの蒸留所を買収し、アイリッシュウイスキーの蒸留所に転換。
このクーリー蒸留所がブッシュミルズ蒸留所、ミドルトン蒸留所に次ぐ、
第3の蒸留所として誕生し、新たな革命を次々と起こしました。
そのひとつが、連続式蒸溜機を使うグレーン原酒を製造し、
その後に続く小さな蒸留所にも卸したことでしょう。
アイリッシュウイスキーは3年間の熟成がルールとなっています。
ブレンデッド・ウイスキーを作るには、3年間を経たモルト原酒とグレーン原酒が必須となります。
小さな蒸留所にとってグレーン原酒の製造がネックになっていたのです。
また、ジョン・ティーリング氏はアイリッシュウイスキーにしかない“ポットスチル・ウイスキー”が復興のカギを握ると確信。
モルト、グレーン、そしてポットスチル・ウイスキーの3種類の原酒を組み合わせることで、
多彩なブレンデッドが生まれることに活路を見出しました。
2010年には世界的にクラフト・ウイスキーのブームが到来。
アイリッシュウイスキーの蒸留所も2013年から現在にいたるまで確実に軒数を増やし、
今では50軒を超えるほどまでに。その一方で、
いかんせん日本においてアイリッシュウイスキー情報が少ないのも実情です。
ここ2~3年でわかってきた興味深いことのひとつに、
畑によって大麦に違いが出てくるということ。
アイルランドの肥沃な土地で育った大麦、そして香りにかかわってくる水など、
ウイスキーにおけるテロワールが、にわかに注目を集めています。
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